債務整理はいくらから?金額の目安と始めるべきタイミングを解説

「毎月の返済が遅れがちになっている」「リボ払いの残高が増える一方で、完済の目処が立たない」「家族に借金のことが知られるのではないかと不安…」

こうした返済の悩みは、決して珍しいものではありません。借金の悩みはデリケートですが、一人で抱え込む必要はありません。

債務整理とは、裁判所を利用する手続き(特定調停・個人再生・自己破産など)や、貸金業者などとの私的な交渉(任意整理)を通じて、借金の負担を軽くするための方法の総称です。

ただし、債務整理には「借金がいくら以上なら必ず行う」という一律の金額基準はありません。重要なのは、借金の総額だけでなく、今の収入・生活費・資産・保証人の有無などを踏まえて、返済を続けられる状態かどうかです。

この記事では、公的な情報に基づき、債務整理を「いくらから」考えるべきかを整理します。手続きごとの目安、債務整理の費用、返済が苦しいと感じたときに確認すべきサインまで解説します。

結論からいうと、借金額だけで決めるのではなく、家計から返済に回せる金額と、今後必要になる返済月額を比べることが大切です。読み進めながら、ご自身の状況と照らし合わせてみてください。

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目次

債務整理に「いくらから」という明確な金額基準はない

「借金がいくらになったら債務整理をすべきか」について、全国共通の一律な金額基準はありません。

債務整理には、任意整理・個人再生・自己破産など複数の方法があります。それぞれ特徴や利用条件が異なるため、借金の総額だけで「この手続きが正解」と判断することはできません。

大切なのは、今の家計で返済を続けられるかです。同じ100万円の借金でも、収入・生活費・扶養家族・資産の状況によって、返済の難しさは変わります。

まずは、次の3つを確認しましょう。

確認すること見るべきポイント
家計の余裕毎月の手取り収入から必要な生活費を引いたあと、返済に回せる金額があるか
3〜5年で返済できるか任意整理の目安として、借金の元本を36回または60回で割った金額を無理なく支払えるか
資産・保証人・職業への影響自宅・車・預貯金・保証人の有無、一部の資格や仕事に影響が生じないか

つまり、「借金がいくら以上なら債務整理」ではなく、返済を続けることで生活が成り立たなくなる状態かどうかが判断の軸になります。

まずは家計余剰と返済月額を比べる

債務整理を検討する前に、まずは「家計余剰」を計算してみましょう。家計余剰とは、毎月の手取り収入から、家賃・食費・光熱費・通信費など生活に必要な支出を引いた金額です。

家計余剰の計算式
手取り月収 − 必要な生活費 = 家計余剰

次に、任意整理によって将来利息が減免され、借金の元本を3年または5年で返済する場合の月額を簡易的に試算します。

返済月額の簡易試算式
総債務額 ÷ 36回 = 3年返済の場合の月額
総債務額 ÷ 60回 = 5年返済の場合の月額

この計算は、利息・遅延損害金・専門家費用などを含めない元本だけの目安です。実際の返済額や返済期間は、債権者との和解条件や取引状況によって異なります。

たとえば、借金総額が200万円の場合は以下のようになります。

総債務が200万円の場合
  • 200万円 ÷ 36回 = 月約5.6万円
  • 200万円 ÷ 60回 = 月約3.3万円

家計余剰が月2.5万円しかない場合、5年返済の月約3.3万円でも不足します。任意整理の一般的な返済案では家計が成り立たない可能性があるため、家計改善の余地や債権者が応じる返済条件を確認し、個人再生・自己破産を含めて比較する必要があります。

一方で、借金総額が大きく見えても、家計余剰の範囲で返済できる見込みがあるなら、任意整理や家計改善で対応できる余地があります。

金額に関係なく早めに相談したい3つのサイン

借金の総額がそれほど大きくなくても、次のような状況に当てはまる場合は、早めに専門家へ相談した方がよい状態です。

サイン1|延滞が61日以上に及んでいる・一括請求の予告が届いた

延滞が長期化すると、信用情報に延滞情報が登録されたり、契約に基づいて残額を一括請求されたりする可能性があります。

CICの開示報告書では、返済日より61日以上または3か月以上の支払遅延がある場合などに「異動」と表示されます。ただし、登録される情報や基準は信用情報機関、契約内容、債権者からの報告状況によって異なります。

今やること:請求書や督促状を捨てずに保管し、弁護士・司法書士・法テラスなどに相談しましょう。裁判所から書類が届いている場合は、記載された期限も確認してください。

サイン2|貸金業者からの借入が年収の3分の1に近い

消費者金融やクレジットカードのキャッシングなど、貸金業者からの借入は、原則として年収の3分の1までに制限されています。

総量規制は貸金業者による新たな貸付を制限するルールであり、年収の3分の1以内なら無理なく返済できるという意味ではありません。上限に近づくと追加借入が難しくなる可能性もあるため、現在の返済を家計から続けられるか確認する必要があります。

今やること:新たな借入で返済をつなぐのではなく、借入先・残高・金利・毎月の返済額を一覧にしましょう。

サイン3|返済のために別の会社から借りている

返済日を乗り切るために別の借入をする状態は、いわゆる自転車操業です。一時的に支払いをしのげても、利息負担が増え、元金が減りにくくなります。

今やること:借入先と借入額をすべてリストアップし、家計余剰で3〜5年返済できるかを確認したうえで相談しましょう。

借金額だけを見て「まだ大丈夫」と判断すると、延滞、一括請求、訴訟、差押えなどに進み、選択肢が狭まることがあります。

少しでも返済が苦しいと感じたら、まずは家計余剰と返済月額を計算し、早めに相談することが大切です。

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【手続き別】債務整理の金額目安と向いている人

債務整理には主に3つの方法があり、それぞれ特徴や適した状況が異なります。どの手続きが自分に合っているか、まずは早見表で比較しましょう。

債務整理3手続きの比較早見表(目安)

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項目任意整理個人再生自己破産
手続きの概要裁判所を通さず、債権者と将来利息の減免や分割払いを交渉します裁判所に申立て、借金を圧縮したうえで原則3年、特別な事情がある場合は最長5年で返済します裁判所に申立て、支払不能と認められ、免責許可が確定すれば原則として返済義務が免除されます
金額の考え方法律上の金額基準はありません。返済可能性と費用対効果を確認して判断します住宅ローン等を除く借金が5,000万円以下であることが前提です金額制限はありません。収入・資産・債務額などから支払不能かどうかを判断します
適する人継続収入があり、元本を3〜5年程度で返済できる見込みがある人継続的または反復した収入の見込みがあり、任意整理では返済が難しい人。住宅を残したい人収入や資産を踏まえても、返済の見込みが立たない人
借金の行方将来利息などの減免を交渉し、合意した金額を分割返済します最低弁済額、清算価値などの基準に従い、圧縮後の金額を返済します税金・養育費など一部を除き、免責される可能性があります
信用情報への影響延滞、支払条件の変更、契約終了などの情報が登録される可能性があります。内容と期間は機関や契約状況により異なります信用情報機関により登録内容が異なります。KSCでは官報情報が当該決定日から7年を超えない期間登録されます信用情報機関により登録内容、保有期間、起算点が異なります。KSCでは破産手続開始決定の官報情報が7年を超えない期間登録されます
向かないケース返済原資がない、借金が大きすぎる、または少額で費用倒れになりやすい場合継続収入の見込みがない、借金100万円未満で減額効果が小さい場合一定以上の資産を残したい場合や、一時的な資格・業務制限の影響が大きい場合

上記はあくまで目安です。費用、期間、利用条件、財産への影響は、状況、依頼先、管轄の裁判所によって異なります。最終的な方針は専門家に確認しましょう。

任意整理の目安|3〜5年で元本を返済できるかが重要

任意整理とは、裁判所を通さずに、弁護士や、法令上の範囲内で認定司法書士が代理人となって債権者と交渉し、返済条件の見直しを目指す方法です。

実務上は、将来発生する利息や遅延損害金の減免を求め、残った元本を3年(36回)から5年(60回)程度で分割返済する内容での和解を目指すことがあります。ただし、債権者には交渉に応じる義務がなく、将来利息の一部が残ったり、希望する返済期間で合意できなかったりすることもあります。

任意整理自体には「借金いくらから」という法律上の決まりはありません。判断すべきなのは、和解後に支払う金額を家計余剰の範囲で返済できるか、専門家費用を含めても家計が改善するかです。

借金総額が少ない場合は、利息を減免できても、専門家費用を支払うことで結果的な負担軽減が小さくなる「費用倒れ」に注意が必要です。

任意整理が向いている人
  • 継続した収入があり、3〜5年程度で返済できる見込みがある人
  • 借金総額が大きすぎず、家計余剰の範囲で分割返済できる人
  • 自宅や車など、整理対象ではない資産への影響を抑えたい人
  • 保証人付きの債務を整理対象から外したい人

なお、任意整理では整理する債権者を選べる一方で、交渉に応じるかどうかや和解条件は債権者によって異なります。銀行カードローンや保証会社が関係する債務では、口座凍結や保証会社からの請求などにも注意が必要です。

借金額が少ないと費用倒れするリスク

任意整理を専門家に依頼すると、主に以下の費用が発生します。

  • 着手金
    • 依頼時に発生する費用です。1社ごとに設定されることがあります。
  • 報酬金
    • 和解成立時や、減額できた金額に応じて発生することがある費用です。
  • 実費
    • 通信費、郵送費など、手続きを進めるために必要な費用です。

「費用倒れ」とは、任意整理によって減免できる将来利息などの経済的な効果よりも、専門家に支払う費用の方が大きくなり、手続きをする実益が小さくなる状態を指します。

ミニ試算|総額25万円、2社、年18%の場合

総額25万円を年18%、元利均等方式、追加借入・手数料なしで3年(36回)返済すると仮定した場合、総返済額は約32.5万円、利息は約7.5万円です。

任意整理で減免できる利息の仮定

約7.5万円

専門家費用の例

仮に1社4万円なら、2社で8万円

この仮定では「減免できる利息約7.5万円 < 費用8万円」となり、費用倒れに近い状態です。実際には、現在の返済方法、残りの返済期間、遅延損害金、報酬体系によって結果が変わります。

借金額が少ない場合は、家計の見直しで返済額を捻出できないか確認したり、簡易裁判所を利用する特定調停を検討したりする方が負担を抑えられることもあります。ただし、調停で決まった返済を守れなければ、調停調書に基づいて強制執行を受ける可能性があるため、無理のない返済計画が必要です。

実際の費用は事務所によって異なります。必ず事前に見積もりを取り、返済負担をどの程度軽くできるかと比較しましょう。

個人再生の目安|住宅ローン等を除く借金が5,000万円以下

個人再生とは、破産のおそれがあるなど経済的に苦しい人が裁判所に申立てを行い、再生計画の認可を受けることで、借金の圧縮を目指す手続きです。圧縮された借金は、原則3年、特別な事情がある場合は最長5年で分割返済します。

個人再生を利用するには、継続的または反復して収入を得る見込みがあり、住宅ローン等を除いた借金が5,000万円を超えないことなどが必要です。

借金が100万円未満の場合、最低弁済額の基準では原則として全額を返済することになり、元本を減らす効果は得にくくなります。そのため、借金が100万円以上あり、任意整理では返済が難しい場合に、個人再生が比較対象になりやすいといえます。

個人再生には「最低弁済額」という基準があります。これは、再生計画で最低限返済しなければならない金額を判断する基準の一つです。

最低弁済額の基準

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借金総額(住宅ローン等を除く)最低弁済額の目安
100万円未満借金総額の全額
100万円以上〜500万円以下100万円
500万円超〜1,500万円以下借金総額の5分の1
1,500万円超〜3,000万円以下300万円
3,000万円超〜5,000万円以下借金総額の10分の1

ただし、実際の返済額はこの表だけで決まるわけではありません。保有資産の清算価値が最低弁済額を上回る場合は、原則として清算価値以上の返済が必要です。たとえば、借金額に基づく最低弁済額が100万円でも、清算価値が200万円ある場合は、200万円以上の返済が必要になることがあります。また、給与所得者等再生では、可処分所得額の2年分以上という基準もあります。

たとえば、借金が400万円ある場合、借金額に基づく最低弁済額は100万円です。ほかの基準によって増額されないと仮定し、3年で返済するなら、月約2.8万円の返済計画になります。

個人再生が向いている人
  • 任意整理では返済しきれない多額の借金がある人
  • 継続的または反復した収入を得る見込みがある人
  • 住宅ローン返済中で、自宅を残したい人
  • 自己破産による一時的な資格・業務制限や財産処分を避けたい事情がある人

住宅ローン特則で自宅を残せる仕組み

個人再生の大きな特徴の一つが、「住宅資金特別条項(住宅ローン特則)」です。

これは、住宅ローンについては原則として契約どおり返済を続けながら、その他の借金を再生計画に基づいて整理する仕組みです。要件を満たして再生計画が認可されれば、自宅を処分せずに借金問題を解決できる可能性があります。

ただし、この特則を利用するには、住宅の用途や権利関係など、複数の条件を確認する必要があります。

  • 本人が所有し、主に居住用として使用している住宅であること
  • 住宅ローン債権を担保する抵当権が住宅に設定されていること
  • 原則として、住宅ローン以外の債権を担保する抵当権などが設定されていないこと
  • 住宅ローンと再生計画に基づく返済を継続できる見込みがあること
  • 保証会社による代位弁済がある場合は、申立ての時期に注意が必要であること

住宅の一部を事業用に使っている場合や、別の担保権が設定されている場合などは、利用できるか個別に判断する必要があります。また、住宅ローン特則は住宅ローンそのものを一律に減額する制度ではありません。

個人再生にかかる裁判所費用の目安

個人再生では、専門家費用のほかに、個人再生で裁判所へ納める費用も発生します。東京地方裁判所の資料では、令和7年11月1日以降の申立てについて、申立手数料1万円、予納金1万5,120円、基本となる予納郵便切手1,990円分に加え、110円切手3枚と、債権者数に応じた140円切手が案内されています。

実際の費用は、管轄の裁判所、債権者数、事件内容、個人再生委員の選任の有無などによって異なります。個人再生委員の報酬に充てる予納金や、履行可能性を確認するための積立方法も裁判所によって異なるため、申立て前に確認しましょう。

自己破産の目安|金額ではなく支払不能かどうかで判断

自己破産とは、裁判所に申立てを行い、自身の収入や資産では借金を返済していくことができない「支払不能」な状態にある場合に利用を検討する手続きです。

破産法上の支払不能とは、支払能力を欠くために、弁済期にある債務を一般的かつ継続的に返済できない状態をいいます。裁判所の免責許可が確定すれば、税金や養育費など一部の非免責債権を除き、借金の返済義務が免除されます。

自己破産には、個人再生のような「借金いくらから」という金額基準はありません。借金が100万円でも1,000万円でも、その人の収入、資産、生活費、返済状況などに照らして、支払不能かどうかが判断されます。

自己破産が向いているケース
  • 家計余剰がマイナスで、返済の目処が立たない人
  • 収入がない、または病気や高齢などで安定収入が見込めない人
  • 借金総額が大きく、個人再生での返済も困難な人
  • 長期延滞や複数社からの督促が続いている人

自己破産をすると、生活に必要な一定範囲の財産を除き、不動産、一定の価値がある車、高額な預貯金などが処分対象になることがあります。残せる財産の範囲や運用は裁判所によって異なる場合があります。また、破産手続開始の決定から復権までの間は、一部の資格や業務に制限が生じることがあります。

自己破産にかかる実費・専門家費用の目安

自己破産の手続きには、自己破産で裁判所に納める実費と、専門家に支払う費用がかかります。裁判所に納める費用は、手続きの種類や管轄の裁判所によって異なります。

同時廃止

処分・調査すべき財産がほとんどなく、破産管財人による調査や配当が不要と判断される場合の手続きです。

管財事件

一定の財産がある場合や、免責不許可事由などの調査が必要な場合に、破産管財人が選任される手続きです。裁判所によって少額管財などの運用があります。

裁判所に納める費用の目安(東京地裁の例)

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項目同時廃止個人管財事件
申立印紙代1,500円1,500円
予納金基準額13,046円
(中目黒庁舎で現金納付する場合は14,000円)
最低20万円+20,397円
(中目黒庁舎で現金納付する場合は、20,397円に代えて21,000円)
予納郵券4,950円分4,950円分

上記は東京地裁に個人が自己破産と免責を申し立てる場合の例です。実際の金額は地域や事件内容によって異なり、通常管財になる場合は、さらに高額な予納金が必要になることがあります。

専門家費用も、依頼する事務所や事件の難易度によって異なります。必ず事前に、着手金、報酬金、実費、分割払いの可否を確認しましょう。

法テラスの民事法律扶助制度を利用できる場合、弁護士・司法書士費用を立て替えてもらい、原則として分割で返済できます。ただし、自己破産事件の予納金は、生活保護を受給している方を除き、原則として立替えの対象外です。民事再生事件の予納金は、生活保護の受給の有無にかかわらず立替えの対象外とされています。利用条件と対象費用は、事前に法テラスへ確認しましょう。

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借金額以外で債務整理を判断する2つの基準

借金の総額だけで「まだ大丈夫」と判断するのは適切ではありません。債務整理を検討すべきかどうかは、「追加借入が制限される状況に近いか」と「実際の家計で返済を続けられるか」という2つの軸でも確認できます。

これらは、債務整理が必要かを機械的に決める基準ではありません。現在の返済状況を客観的に把握するための補助的な判断材料として使いましょう。

総量規制(年収の3分の1)に近づいているか

総量規制とは、貸金業法で定められたルールで、貸金業者からの借入は、原則として年収の3分の1までとするものです。

ここでいう貸金業者には、主に消費者金融や、キャッシングを提供するクレジットカード会社などが含まれます。銀行カードローンは銀行が貸し付けるため総量規制の対象外です。また、住宅ローンや一定の自動車ローンなどは除外貸付、クレジットカードのショッピング利用は貸金業法上の貸付ではないため対象外です。

総量規制の対象

消費者金融、クレジットカードのキャッシングなど

総量規制の対象外・除外貸付の例

銀行カードローン、住宅ローン、一定の自動車ローン、クレジットカードのショッピング利用など

たとえば年収300万円の人の場合、貸金業者からの借入は、原則として合計100万円までです。

貸金業者からの借入が年収の3分の1に近い場合、追加借入が難しくなる可能性があります。ただし、総量規制は「その範囲内なら安全」という意味ではありません。銀行カードローンやショッピングリボを含めた毎月の総返済額で、家計が圧迫されていないかを確認する必要があります。

月々の返済額が手取り月収を圧迫しているか

もう一つの確認方法が「返済負担率」です。ここでは、手取り月収のうち、借金返済がどれくらいの割合を占めているかを計算します。

【返済負担率の計算式】

毎月の総返済額 ÷ 手取り月収 × 100 = 返済負担率(%)

返済負担率は、家計の苦しさを確認するための補助的な指標です。返済額が手取り収入を圧迫している場合は、食費や医療費など必要な生活費を削って返済していないか確認しましょう。

ただし、債務整理を行うかどうかを決める法律上の返済負担率はありません。家賃、家族構成、医療費、養育費、地域の生活費によって、同じ割合でも家計への影響は変わります。最終的には、必要な生活費を確保したあとの家計余剰で返済できるかを確認することが重要です。

【返済月額の簡易試算式(再掲)】
総債務額 ÷ 36回
総債務額 ÷ 60回
※利息・遅延損害金・専門家費用などを含めない、元本だけの目安です。

家計余剰が5年(60回)返済の目安を下回っている場合、一般的な任意整理案では返済が難しい可能性があります。家計を改善できるか、債権者とどのような条件で合意できるかを確認し、個人再生や自己破産も含めて相談しましょう。

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債務整理の進め方と費用の考え方

実際に債務整理を考え始めた場合、どのような流れで進むのか、費用をいつ支払うのか、不安に思う人も多いでしょう。ここでは、大まかな流れと費用の考え方を解説します。

債務整理の一般的な流れ
STEP
相談(公的窓口・専門家)

弁護士・司法書士の相談、法テラス、自治体の相談窓口などを利用し、借入状況と家計を説明します。無料相談の有無や条件は相談先によって異なります。

STEP
専門家への依頼・受任通知の送付

正式に依頼すると、専門家から債権者へ受任通知が送付されます。貸金業者については、弁護士または法令上の範囲内で認定司法書士から通知を受けた後、正当な理由なく本人へ直接取り立てることが制限されます。

STEP
債務の調査・書類収集

借入総額、取引履歴、利息の再計算、家計状況、資産状況を確認します。給与明細、通帳、借入明細などが必要になります。

STEP
手続きの選択・返済プランの決定

調査結果と本人の希望(家を残したい、保証人への影響を抑えたいなど)に基づき、任意整理・個人再生・自己破産などから方針を決めます。

STEP
費用の支払い・積立て

専門家費用や裁判所費用を支払います。支払いの開始時期は事務所や手続きによって異なり、分割払い・積立てに対応している場合もあります。法テラスの立替制度を利用できることもあるため、依頼前に確認しましょう。

STEP
手続きの開始(交渉・申立て)

任意整理の場合は債権者との交渉、個人再生・自己破産の場合は裁判所への申立てが行われます。実際の順番は、費用の支払い状況や必要書類の準備によって前後することがあります。

費用は、「実費」と「専門家費用」の2種類に分けて理解すると分かりやすくなります。

  • 実費
    • 裁判所への申立手数料、郵券、官報公告費、予納金など、手続き自体に必要な費用です。
  • 専門家費用
    • 弁護士や司法書士に支払う着手金、報酬金、事務手数料などです。

これらの費用は、手続きの種類、依頼する事務所、債権者数、事件の内容、お住まいの地域を管轄する裁判所によって幅があります。契約前に、総額、追加費用が発生する条件、分割払いの可否を確認しましょう。

相談先(法テラス・専門家)と依頼するメリット

債務整理の相談先としては、公的な「法テラス」と、民間の「弁護士・司法書士事務所」が主な選択肢になります。

法テラス(日本司法支援センター)

国が設立した公的な法人で、民事法律扶助制度を運営しています。収入や資産が一定基準以下の方などを対象に、無料法律相談や、弁護士・司法書士費用の立替えを行っています。立て替えてもらった費用は原則として分割で返済します。ただし、自己破産や個人再生の予納金など、立替対象外となる費用がある点には注意が必要です。

弁護士・司法書士事務所(専門家)

債務整理を扱う法律事務所や司法書士事務所へ直接相談する方法です。初回相談を無料としている事務所もありますが、無料となる回数や時間、相談対象は事務所ごとに異なります。

専門家に依頼する主なメリットは、以下の点です。

  • 督促の負担を軽くできる
    • 貸金業者に受任通知が届くと、法令上、正当な理由のない本人への直接の取立てが制限されます。
  • 煩雑な手続きを任せられる
    • 代理できる範囲で債権者との交渉を依頼でき、裁判所に提出する書類の作成や準備について支援を受けられます。
  • 手続きの選択を相談できる
    • 任意整理・個人再生・自己破産のどれが現実的か、収入や資産、保証人の状況を踏まえて検討できます。
  • スケジュールを管理しやすくなる
    • 申立てや必要書類の提出、返済開始までの流れを整理し、期限を確認しながら進められます。

相談先を選ぶ際は、以下の点を確認しましょう。

  • 債務整理の相談・対応実績はあるか
  • 費用の内訳(着手金、報酬金、実費)が明確か
  • 追加費用が生じる条件や、分割払いの可否が明確か
  • 弁護士・司法書士と直接面談できるか
  • 途中で解約した場合の精算条件はどうなるか

費用倒れを避けるためのシミュレーション方法

特に任意整理を検討する場合は、手続き後の返済可能性と費用対効果を確認することが重要です。以下の手順で、大まかなシミュレーションを行いましょう。

STEP
債務総額と借入社数を確定させる

すべての借入先と、それぞれの残高、金利、毎月の返済額を把握します。

STEP
任意整理後の返済月額を簡易試算する

総債務額を36回、60回で割り、元本だけを返済する場合の月額を確認します。実際の和解条件を確定する計算ではありません。

STEP
家計余剰と比較する

手取り月収から必要な生活費を引き、返済月額を継続して支払えるか確認します。

STEP
専門家費用を見積もる

相談時に、着手金、報酬金、事務手数料、実費、追加費用の総額を確認します。

STEP
返済負担の軽減額と費用を比較する

減免できる将来利息などの見込み額と、専門家費用を比較します。毎月の返済額や完済までの期間が現実的かも確認しましょう。

費用倒れチェックシミュレーション(例)

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項目例の数値備考
(1) 総債務額100万円A社50万円、B社30万円、C社20万円
(2) 借入社数3社
(3) 3年返済の月額約2.8万円(1) ÷ 36回。元本のみの簡易試算
(4) 5年返済の月額約1.7万円(1) ÷ 60回。元本のみの簡易試算
(5) 家計余剰月2.0万円手取り25万円 − 必要な生活費23万円
(6) 将来利息の試算約30万円年18%、元利均等、36回、追加借入・手数料なしと仮定
(7) 専門家費用の仮定15万円着手金4万円×3社+報酬金などと仮定
(8) 比較結果((6) − (7))+15万円試算上は将来利息が費用を上回る

この例では、家計余剰(月2.0万円)が5年返済の簡易試算額(約1.7万円)を上回り、試算上は将来利息も専門家費用を上回っています。ただし、実際に将来利息がどこまで減免されるか、60回払いに応じてもらえるかは債権者や取引状況によって異なります。

家計余剰が月1.5万円なら、この仮定のままでは5年返済も難しくなります。家計改善によって毎月の余剰を増やせるか、それでも不足するなら個人再生・自己破産を含めて検討しましょう。

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債務整理で把握すべきリスク・デメリット

債務整理は借金問題を解決するための方法ですが、実行する前に知っておくべきリスクやデメリットもあります。影響を確認したうえで、自分の状況に合う手続きを選ぶことが大切です。

主に確認したいリスクは、以下の4点です。

  • 信用情報への登録(いわゆるブラックリスト状態)
  • 官報への掲載(個人再生・自己破産の場合)
  • 連帯保証人への影響
  • 職業・資格の制限(自己破産の場合)

影響の出方は、手続きや契約内容によって異なります。たとえば、任意整理では保証人付きの債務を対象から外すことで、保証人への請求を避けられる場合があります。一方、個人再生・自己破産では原則として一部の債権者だけを除外できません。

信用情報(ブラックリスト)・官報・連帯保証人への影響

■信用情報(いわゆるブラックリスト)

信用情報機関には、契約内容、返済状況、延滞、保証履行、契約終了などの情報が登録されます。債務整理をした事実が、すべての機関で一律に「債務整理」という名称で登録されるわけではありませんが、延滞や支払条件の変更、保証会社による代位弁済、破産・個人再生に伴う情報などが登録されることがあります。

信用情報に延滞などの情報が登録されている間は、新たな借入、ローン、クレジットカードの作成・更新などの審査に影響する可能性があります。「ブラックリスト」という名前の名簿が存在するわけではありません。

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機関名主な加盟企業登録・保有期間の目安
CICクレジットカード会社などクレジット情報は契約期間中および契約終了後5年以内。CICは現在、官報情報を収集・保有していません
JICC消費者金融、信販会社など契約日が2019年9月30日以前の場合、債務整理・保証履行・強制解約・破産申立などは事実発生日から5年を超えない期間。2019年10月1日以降の契約は、契約継続中および契約終了後5年以内
KSC銀行など取引情報は契約期間中および契約終了日または完済日から5年を超えない期間。破産・民事再生手続開始決定の官報情報は、当該決定日から7年を超えない期間

上記は各機関の公式情報に基づく保有期間です。実際にどの情報がいつ登録・削除されるかは、契約日、情報の種類、完済・契約終了の時期、加盟会員からの報告状況などによって異なります。必要に応じて各機関へ開示請求を行い、現在の登録内容を確認しましょう。

官報への掲載

官報は、国が発行する公的な公告媒体です。個人再生や自己破産では、裁判所の手続きに伴い、住所や氏名などが官報に掲載されます。

一般の人が日常的に官報を確認する機会は多くありませんが、誰にも知られないと保証することはできません。任意整理は裁判所を利用しない私的な交渉であるため、任意整理をしたこと自体が官報に掲載されることはありません。

連帯保証人への影響

保証人や連帯保証人がいる借金は、手続き前に必ず確認しましょう。

主債務者が債務整理をしても、保証人・連帯保証人の返済義務まで当然になくなるわけではありません。対象となった債務について、債権者から保証人へ請求される可能性があります。

任意整理では保証人付きの借金を対象から外せる場合があります。一方、個人再生・自己破産では債権者を平等に扱う必要があるため、特定の債務だけを手続きから外すことは原則としてできません。保証人が家族や友人の場合は、専門家に伝え、保証人を含めた対応を検討しましょう。

職業・資格の制限

自己破産では、破産手続開始の決定から復権までの間、法令により一部の資格や業務に制限が生じることがあります。警備業、保険募集、宅地建物取引士など、資格・登録が必要な仕事をしている人は、勤務先への影響も含めて事前に専門家や所管機関へ確認しましょう。

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債務整理の金額に関するよくある誤解と注意点

債務整理を検討するときは、「借金がいくらあるか」だけで判断しないことが大切です。

特に、総量規制や個人再生の最低弁済額は誤解されやすいポイントです。ここでは、よくある2つの誤解を整理します。

誤解1:「年収の3分の1未満なら債務整理は不要」

誤解:「借金は総量規制の範囲内だから、まだ債務整理を考える必要はない」

正しい考え方:総量規制は、貸金業者が新たに貸し付けられる金額を原則として年収の3分の1までに制限するルールです。年収の3分の1以内であれば、安全に返済できるという意味ではありません。

総量規制の対象になるのは、主に消費者金融やクレジットカードのキャッシングなどです。銀行カードローンやクレジットカードのショッピング利用など、総量規制の計算に含まれない債務もあります。

そのため、貸金業者からの借入が年収の3分の1以下でも、銀行カードローンやショッピングリボを含めると、家計が大きく圧迫されていることがあります。

判断すべきなのは、総量規制の数字だけではありません。毎月の返済額が手取り収入をどれくらい圧迫しているか、必要な生活費を差し引いた家計余剰で返済できるかを確認することが重要です。

誤解2:「個人再生を使えば借金は必ず100万円まで減る」

誤解:「借金が80万円ある。個人再生を使えば、借金をもっと減らせるはず」

正しい考え方:個人再生の最低弁済額の基準では、借金総額が100万円未満の場合、原則として借金全額を返済することになります。

個人再生で「100万円」が一つの目安になるのは、住宅ローン等を除く借金総額が100万円以上500万円以下の場合です。この範囲では、借金額に基づく最低弁済額が100万円になります。

一方、借金が80万円の場合、借金額に基づく最低弁済額は80万円です。裁判所費用や専門家費用をかけても元本を減らす効果は得にくいため、個人再生の実益は小さくなりやすいといえます。

なお、借金が100万円以上の場合でも、保有資産の清算価値や、給与所得者等再生における可処分所得の基準によって、返済総額が100万円を上回ることがあります。「必ず100万円まで減る」制度ではありません。

借金が100万円未満の場合は、任意整理、特定調停、家計の見直し、自力返済の可否などを先に比較する方が現実的なことがあります。

誇大広告や違法業者にも注意する

インターネット上では、「借金が必ず半分になる」「ブラックリストでも借りられる」「誰でも借金をゼロにできる」といった広告を見かけることがあります。

しかし、債務整理の結果は、借金額、借入先、収入、資産、保証人の有無、選ぶ手続きによって変わります。すべての人に同じ結果が出るわけではありません。

また、弁護士や、法令上の範囲内で業務を行う認定司法書士以外の者が、報酬を得る目的で「債務整理を代行します」と宣伝している場合は、弁護士法や司法書士法に反する業務にあたるおそれがあります。費用が極端に安い、契約を急かす、事務所名や資格者名を確認できないといった場合は注意しましょう。

債務整理を検討するときは、「いくら減るか」だけでなく、費用、信用情報への影響、家族や保証人への影響、手続き後の返済計画まで確認しましょう。

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債務整理は専門家に相談して自分に合う方法を確認する

ここまで、債務整理を「いくらから」考えるべきか、手続きごとの目安や判断基準を解説してきました。

実際にどの手続きが合うかは、借金額だけでは判断できません。収入、家計余剰、借入先、保証人の有無、住宅ローンや車のローン、保有資産によって、任意整理・個人再生・自己破産のどれが現実的かは変わります。

たとえば、借金が300万円ある場合でも、家計余剰が月4万円ある人と、毎月赤字の人では、検討すべき手続きが異なります。自宅を残したい、保証人への請求を避けたい、仕事への影響を抑えたいなどの事情がある場合も、個別の確認が必要です。

判断に迷ったときは、弁護士・司法書士・法テラスなどに相談し、「自分の場合、どの手続きなら生活を立て直せるか」を確認しましょう。

初回相談で確認できること

専門家に相談すると、主に以下のような内容を確認できます。

  • 任意整理・個人再生・自己破産のうち、どの手続きが現実的か
  • 任意整理をした場合、毎月いくら返済することになりそうか
  • 個人再生や自己破産を選んだ場合、財産・家族・仕事にどのような影響があるか
  • 手続きにかかる費用の総額と、分割払いに対応しているか
  • 相談から解決まで、どのくらいの期間がかかりそうか

相談時には、借入先、借入残高、金利、毎月の返済額、手取り収入、生活費が分かる資料を用意しておくと、より具体的な見通しを確認しやすくなります。資料がすべてそろっていなくても、分かる範囲をメモして相談しましょう。

相談先は弁護士・司法書士・法テラスから選ぶ

債務整理の主な相談先には、弁護士、司法書士、法テラスがあります。それぞれ対応範囲や利用条件が異なるため、自分の状況に合わせて選びましょう。

弁護士

弁護士は、任意整理・個人再生・自己破産に幅広く対応でき、代理人として行える業務に債権額による一律の上限はありません。

借金額が大きい人、個人再生・自己破産を検討している人、保証人や財産など複雑な事情がある人は、弁護士に相談すると手続き全体を依頼しやすいでしょう。

司法書士

法務大臣の認定を受けた司法書士は、原則として個別の債権額が140万円以下の簡易裁判所管轄の民事事件について、相談・交渉・代理を行えます。

任意整理を中心に相談したい人には選択肢になります。ただし、個別の債権額が140万円を超える場合や、地方裁判所で行う個人再生・自己破産では、代理できる範囲が異なります。個人再生・自己破産については、司法書士は主に裁判所提出書類の作成を支援するため、依頼前に対応範囲を確認しましょう。

法テラス

収入や資産などの条件を満たす場合、無料法律相談や弁護士・司法書士費用の立替制度を利用できることがあります。

専門家費用の支払いに不安がある人は、法テラスの利用条件、審査に必要な書類、立替対象となる費用を確認してみましょう。

借金額が大きい人や個人再生・自己破産を検討している人は弁護士、費用面が不安な人は法テラス、個別の債権額が140万円以下で任意整理を中心に考えている人は認定司法書士も含めて比較するとよいでしょう。

相談前に確認しておきたい3つの不安

「相談したら高額な費用を請求されるのではないか」「強引に契約させられないか」「家族や会社に知られないか」と不安に感じる人もいるでしょう。

不安を減らすために、相談時は次の3点を確認しましょう。

  • 費用
    • 着手金、報酬金、実費を含めた総額を確認しましょう。分割払いに対応しているか、途中で方針を変更した場合に追加費用がかかるかも重要です。
  • 契約を急かされないか
    • 相談当日に契約を求められても、費用やデメリットを理解できていない場合は、いったん持ち帰って検討しましょう。契約書や委任契約の内容を確認し、納得してから依頼することが大切です。
  • 家族や職場への連絡
    • 本人の同意なく家族や職場に連絡しない体制があるか、郵送物や電話連絡をどう扱うかを確認しましょう。ただし、保証人付きの借入、給与差押え、財産や家計に関する裁判所手続きがある場合は、完全に知られず進めるのが難しいこともあります。

相談したからといって、必ずその場で債務整理を依頼しなければならないわけではありません。早めに状況を整理することで、任意整理で対応できるのか、個人再生や自己破産も検討すべきなのか判断できるはずです。

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まとめ

債務整理には、「借金がいくら以上なら行う」という一律の金額基準はありません。実際の判断では、必要な生活費を確保したうえで返済を続けられるかが重要です。

債務整理には、任意整理・個人再生・自己破産などの方法があります。任意整理は、債権者と将来利息の減免や返済条件を交渉する方法で、合意した金額を3〜5年程度で返済できるかが実務上の目安になります。

個人再生は、継続的または反復した収入の見込みがあり、任意整理では返済が難しい人が、裁判所を通して借金の圧縮を目指す手続きです。自己破産は、借金額ではなく、収入や資産などを踏まえて支払不能かどうかで判断されます。

債務整理を検討するときは、借金総額だけでなく、家計余剰、毎月の返済額、延滞の有無、保証人、資産、仕事への影響も確認する必要があります。

特に、長期延滞している場合、複数社から督促を受けている場合、返済のために新たな借入をしている場合は、金額が少なくても早めに相談した方がよい状態です。

この記事の重要なポイントを3つにまとめました。

  1. 債務整理に一律の「いくらから」という基準はない
  2. 任意整理の目安は、総債務額を36回・60回で割り、元本だけの簡易返済額と家計余剰を比較
  3. 長期延滞や自転車操業などのサインが出たら、金額にかかわらず早めに専門家へ相談

返済が苦しいと感じたら、まずは以下の3つを確認してください。

  1. 「手取り月収 − 必要な生活費」で、ご自身の家計余剰を算出する。
  2. 借入先をすべてリストアップし、元本の簡易試算として「総債務額 ÷ 36」と「総債務額 ÷ 60」を計算する。
  3. 計算結果と給与明細、通帳、借入先の資料などを持って、法テラスや弁護士・司法書士へ相談する。

返済を続けるために生活費を削ったり、新たな借入を重ねたりする前に、利用できる手続きと生活への影響を確認することが大切です。一人で抱え込まず、専門家と一緒に解決の道筋を整理しましょう。

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債務整理の「いくらから」に関するよくある質問

借金が20万円でも任意整理はできる?

任意整理には法律上の最低金額がないため、20万円でも債権者と交渉すること自体は可能です。ただし、債権者が和解に応じるとは限らず、費用対効果の確認も必要です。

借金額が20万円の場合、現在の金利や残りの返済期間によっては、減免できる将来利息が数万円程度にとどまることがあります。

一方、専門家に依頼すると1社ごとに費用がかかる場合があります。結果として、返済負担の軽減額より費用が高くなる可能性があります。

家計の見直し、自力返済の可否、特定調停を含めて比較し、依頼前に費用の総額と得られる効果を確認しましょう。

借金100万円未満でも個人再生はできる?

借金が100万円未満でも、収入などの要件を満たせば個人再生を申し立てること自体は可能です。

ただし、借金額に基づく最低弁済額の基準では、100万円未満の場合は原則として借金全額を返済します。裁判所費用や専門家費用をかけても元本を減らす効果は得にくいため、実益は小さくなりやすいでしょう。

100万円未満の場合は、任意整理、特定調停、家計改善、自力返済の可否などを先に比較することが一般的です。

自己破産における「支払不能」の目安は?

支払不能とは、支払能力を欠くために、弁済期にある債務を一般的・継続的に返済できない状態を指します。

明確な借金額や返済負担率だけで決まるものではありません。借金総額、延滞状況、収入の安定性、必要な生活費、資産を換価できるかなどをもとに総合的に判断されます。

家計が継続的に赤字で、資産を考慮しても返済の見通しが立たない場合は、自己破産を含めて早めに専門家へ相談しましょう。

年収の3分の1以下なら債務整理は不要?

不要とは限りません。総量規制は、貸金業者による新たな貸付を原則として年収の3分の1までに制限するルールです。

銀行カードローンやクレジットカードのショッピング利用など、総量規制の対象に含まれない債務もあります。そのため、貸金業者からの借入が年収の3分の1以下でも、毎月の返済で家計が苦しくなることはあります。

必要な生活費を差し引いた家計余剰で、今後の返済を継続できるかを確認しましょう。

滞納や一括請求の後でも任意整理は可能?

債権者と交渉できる可能性はありますが、滞納前より選択肢が限られることがあります。

長期間滞納している場合や一括請求通知が届いている場合、債権者が分割払いの和解に応じないこともあります。すでに訴状、支払督促、差押命令など裁判所からの書類が届いている場合は、対応期限を確認する必要があります。

任意整理が難しい場合は、個人再生や自己破産を検討します。通知を放置せず、届いた書類を持って早めに弁護士・司法書士へ相談しましょう。

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出典

日本貸金業協会「お借入れは年収の3分の1まで(総量規制について)」
金融庁「貸金業法Q&A」
e-Gov法令検索「貸金業法」
e-Gov法令検索「破産法」
e-Gov法令検索「民事再生法」
裁判所「個人再生手続Q&A」
裁判所「民事事件Q&A」
東京地方裁判所「個人再生手続の申立てに当たって」
東京地方裁判所「破産事件の手続費用一覧(令和8年1月1日現在)」
法テラス「弁護士・司法書士費用等の立替制度のご利用の流れ」
法テラス「立替制度に関するよくあるご質問」
法務省「簡裁訴訟代理等関係業務の認定」
日本司法書士会連合会「債務整理事件における司法書士の代理権に関する最高裁判決について」
CIC「CICが保有する信用情報」
CIC「信用情報開示報告書 表示項目の説明」
CIC「自己破産の登録は何年間ですか?」
JICC「信用情報の内容と登録期間」
全国銀行個人信用情報センター「センターの概要」
e-Gov法令検索「警備業法」
e-Gov法令検索「宅地建物取引業法」
東京地方裁判所「民事第20部(倒産部)」

この記事を書いた人

債務整理メディアは、借金問題で一歩を踏み出せない方に向けて、債務整理に関する各手続きの違いや費用・リスクをわかりやすく解説している。公平かつ透明性の高い情報発信を通じて、利用者が再スタートを切るための最短ルートを示すことを目標としている。独自アンケートのデータを掛け合わせ、任意整理借金減額診断などの情報を詳細に整理。さらに、債務整理におすすめの相談先や、自己破産に強い弁護士・司法書士事務所についても具体的な情報を提供している。

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